風に吹かれて

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風に吹かれて

ある日、女が草原の上を当てもなく 散歩していた。 草むらは、朝露に濡れて湿っている。 辺りは涼しく、時折爽やかな風が 微かに吹いている。 しばらく歩いていると、 ある物が目に入り、その場で 立ち止まった。 それは、一輪の蒲公英の綿毛であった 女は、それを摘み取り、しばらく 眺めた後、息を吹きかけた。 種は、風に運ばれて遥か彼方へと 運ばれていった。 女は種が飛ばされた方を眺めていた。 柔らかい風が髪を揺らした。 彼女の目線の先にある地平線付近の 空は青みを帯びていた。
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