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面影
男は困惑していた。
彼女と連絡を取っても、応答しなかったからだ。
彼女と、最後に会話を交わしたのはいつだったのか、
当時の記憶をいくら辿っても
男は、断片的にしか思い出せずにいた。
何気なく別れの挨拶をして
また、いつも通りに会うはずだったが、
しかし、それきり彼女は戻って来ない。
最後の別れ際に、
僅かに目を伏せていた事だけだった。
男は、携帯の画面から、顔を上げた。
辺りは、夕陽の光に照らされて
橙色一色に染まっていた。
男は、一人佇み、黄昏に包まれた
その光景を眺めた。
肌寒い風が吹いて、男の髪が小さく揺れた。
男は人恋しくなり、彼女に思い焦がれて、
男はその場を後にした。
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