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autumn
建物に夕日が差し込み、辺りは薄暗くなりつつある。
街路樹の葉は、茶色や黄色に色を変えて
その周辺には落ち葉が散りばめられ、
根元には、蝉の脱け殻が落ちている。
女性が石畳の道を歩いていると、
複数の店が目に入った。
道沿いにはパン屋、洋菓子店、雑貨屋が
横一列に並んでいて、
それぞれのショーウィンドウには
お洒落な小物や、色鮮やかに彩られた
焼き菓子、様々な形をした茶色いパン等が
飾られていて、
香ばしい匂いや、甘い匂いが、それぞれの店から漂っている。
彼女は、
しばらく、その光景に見とれていた。
そして、不意に溜息をもらした。
ー春と夏は仕事に追われて何かと
慌ただしかったけど、
肌寒い季節が近づいてから、やっと肩の荷が下りたわ…ー
彼女が、ふと考えていた矢先に、
携帯が小さく振動した。
彼女は、それをポケットから取り出し
連絡に応じた。
一通り会話を終えて、彼女は電源を切り
連絡した相手と出会うために、
街中を足早に歩いた。
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