第1章

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銀河パトロール隊の支部に、航行中の貨物船から連絡が入る。 見慣れない文字が書かれた、難破船らしき物を発見したとの連絡であった。 その場所にパトロール艇が派遣される。 到着した隊員の1人が、翻訳機に付属するカメラで見慣れない文字を写す。 翻訳機のディスプレイに、解読された文字が映し出される。 文字が映し出された事で、銀河帝国に所属する国の船という事がわかった。 表示された大きな文字の下に、補足の説明が小さな文字で一緒に表示される。 所属する国の、一地方の言語と表示されていた。 銀河帝国に所属する為に必要な幾つかの条件の1つである、統一国家になる前に打ち上げられた宇宙船なのだろう。 同僚が文字の解読を行っている間に、もう1人の隊員が、難破船のハッチをこじ開け船の中に入る。 船の中は外側と同じようにボロボロで、ナットやネジに小さな部品の残骸が漂っていた。 それらをかき分け操縦席に辿り着く。 操縦席には、宇宙服に包まれたミイラ化した遺体が、安全ベルトで固定されている。 隊員は遺体に敬礼した。 敬礼している隊員の無線機に、文字の解読を行っていた同僚から連絡が入る。 「その船の所属する国が分かった。 曳航して欲しいとの依頼も来ているから、艇に繋いでくれ」 「了解。 何処の所属だ?」 「銀河辺境部にある、1000年程前に帝国に所属した新興国家だな。 統一国家になる5~600年程前、恒星の最外周を回る惑星を観測するために、打ち上げられた船との事だ」 「この人物は2000年近くの間、宇宙をたった1人で彷徨っていたわけか」 曳航の準備を始める前に隊員は、宇宙服姿の人物の肩を叩き声をかけた。 「良かったな、国に帰れるぞ」
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