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その1 タクミくんは変な人 その2 遠藤君と同じチャラチャラした人で、あたしはからかわれている その3 あたしの何かがとてつもなくおかしくて見られていた あたしはパソコンで文字を打ちながら、さっきの出来事を振り返っていた。 その2が有力だけど、その1もありえる。 でも、初めてあんな一目ぼれみたいな体験をしたすぐ後に、相手が変人だったか、軽い人だったなんて認めたくない。 できればその3であってほしい。 それはそれで最悪だけど、少なくとも変な人に惹かれたわけじゃないってことになるし。 学校のあと頼みたいことあるから遅くならないでねと言われて帰ってきたのにお母さんの用事は町内会の回覧板でまわすお知らせの紙の清書だった。 お母さんは、町内会で理事をするぐらい活発なんだけど、機械はてんでダメ。 だからってA4一枚の文章を打ち込むだけなのに、何時間かかる予想だったわけ? あーあ。これだけだったらすぐ終わるから麻美とモール行けたのになぁ・・・。 町内会の展覧会のお知らせについて文字を打ち込みながら、あたしはさっきお母さんが持ってきた紅茶を飲む。 大変なことを頼んじゃってごめんねと申し訳なさそうに持ってきたからありがたくいただくけど、麻美との遊びを蹴って帰ってきたのだから、クッキーのひとつでも欲しいところだ。 もう文章は打ちおわったから、ついでに下の方にかわいいイラストでも入れとこうかな。 ネットで適当な素材をさがす。 クマのイラストとウサギのイラストをひろってきて味気ない文章の横に添えた。 出来上がったものをプリンターで印刷する。 そしてまた気付くとあたしは帰りのタクミくんのことを思い出していた。 なんなの、人の顔みてあのギョッとしたような顔。 また胸のあたりがザワザワする。 そうだ最初に教室の外で見た時も、変な顔してあたしのこと見てた気がする。 だけどあたしもぽーっとなってたから、見すぎちゃって気持ち悪がられたのかな・・・ でも帰り際、笑ってたし。
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