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HRの時間になってごっちゃんが教室に入ってくるのと一緒に、里奈も来た。
席にむかう途中で、あたしのほうを見て笑顔で手を振ってくる。
手を振り返しながら、思い出した。
そういえば、里奈は遠藤くんと同じ中学って言ってたな。
もしかして拓海くんのことも知ってるのかな?
里奈に聞いてみたい気持ちもあったけど、元々グループも違うし、
わざわざそのことで話しかけるのも変だよね。
お昼の時に、拓海くんに聞いてみようかな・・・。
その日の午前中の難関は、苦手な古典の授業。
あたしは悲しいかな特別得意な科目はないけど、
そのかわり最近までは苦手なものもあまりなかった。
でもこの古典・・・最近ぐっと難しくなってきて本当に苦手になってしまった。
頑張って教科書を目で追って、メモを取ってるけど
先生が言ってる言葉が呪文にしか聞こえない。
こないだのテストはなんとか平均点をとることができたけど次はもうマズイかも・・・。
先生の唱える呪文を解読しようと四苦八苦しているうちにチャイムが鳴った。
はぁっ疲れた。
この呪文を解読することで、将来何の役にたつのか全然わからないけど、
勉強というのはそういうものなのかな。
「今日日直誰だ?えーと鈴木!」
げっ。先生が呼んでる。もうお昼なのに。
「この資料だけ、運んでくれるか?隣の資料室だから、よろしくな」
しぶしぶ前に行くと先生に資料を押し付けられた。
まぁ、隣の教室だから、すぐ終わるかな。
あたしは資料を持って麻美を目で探す。
麻美はこっちを見て、オッケーと身振りで示した。
「もう来るかもしれないよね?2人ともいなかったらまずいし、あたし待っとくよ」
さすが麻美だ。
あたしならいきなり一緒にお昼食べることになった男子を
1人で待つなんて、挙動不審になりそう。
でも麻美もきまずいだろうし、早く行ってきちゃおう。
隣の資料室に入ると、担任のごっちゃんがいた。
フレンドリーな笑顔をむけて手まで振ってくる。
「鈴木、今日日直か。ご苦労さん!」
ごっちゃんは顔立ちが整っていて、物腰もやわらかいから
里奈たちが騒ぐのも頷ける。
とはいっても、やっぱり年上すぎると思うけど。
同じ年の男の子ですら何考えてるのかわからないのに。
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