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あたしが納得できずに首をひねっていると、 麻美が立ち上がって前の方に手を振った。 「里奈、ちょっといい?」 教室の前の席で喋っていた里奈が不思議そうにこちらを見て、 立ち上がった。 「どうしたの?珍しいね。」 と言いながらもニコニコしながら来てくれる。 里奈は人に好かれるタイプだ。 「里奈って、今工業クラスにいる五十嵐拓海くんて同じ中学だよね?知ってる?」 麻美がズバッと聞いたのであたしはちょっとびっくりしたけど、 中学の時の拓海くんのことを知りたいし期待を込めて里奈を見た。 「いがらし・・・・たくみ?」 里奈はキョトンとした顔で名前を繰り返した。 「ほら・・あの・・・遠藤と一緒にいる背が高くて黒髪の・・・」 麻美が言った。 「あぁ!分かったかも。ちょっと地味な感じの人だよね? 五十嵐って名前だったような気がする。」 エェッ。里奈まで。 拓海くんが地味なわけない。 だってあんなに・・・・あたしからすると・・・ オーラというべきか。 顔立ちの綺麗さだけじゃない、 つい見てしまうような雰囲気がある。 それも、あたしだけが思ってるの? それとも里奈はごっちゃんみたいな大人にしか興味がないのかな。 「その人がどうかしたの?」 「ううん・・里奈が何かその人について知ってるかなと思って。」 麻美に言われて里奈は困ったような顔をして首をかしげた。 「うーん・・・あんまり印象に残ってないんだよね。遠藤と仲よかったような気がするけど・・・」 まただ。`印象に残らない。` どうして? 確かに遠藤くんみたいな派手さはないけど、背も高いし 目立たないってことはなさそうに思えるけど。 「あー!わかった。 こないだ遠藤が花音ちゃん誘ってって言ったの、その人が理由か」 里奈が嬉しそうに手を叩いた。 「つまり、その五十嵐が花音ちゃんのことを気に入ってるから遠藤づてに話がきたわけだ」 「なるほど・・・そうだね」  麻美が頷く。 「うーんけどごめんね。 あたしは、五十嵐がどんな人かはよく知らないんだぁ・・・。 同じクラスになったこともあったような気もするんだけど。 あっでも悪い話も特に聞いたことないけどね」 暗い表情のあたしに気付いたのか里奈がフォローした。
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