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そのまま麻美とテストの結果を話しながら学校を出て、駅に向かう途中のコンビニの前に遠藤くんと数人の男の子がいるのが見えた。
あたしはさっきの男の子がいないかと探してみたけど、どうやらいないみたいだった。
あーあガッカリ。
「ちょっと花音・・・すごい気にしてるんだねその子のこと」
コンビニのほうを見ていたあたしに気付いて麻美が言った。
「どこどこ?あの中にいるの?」
麻美が振り返ってまで見ようとするから、あたしは慌ててとめた。
「ちがうって。いなかったの、あの中には・・・もう帰っちゃったみたい。また見たら言うから」「わかったよ。花音がそんなふうになるの、珍しいから気になるじゃん!」
麻美が言う。たしかに、そうかもしれない。さっき一瞬見ただけで、話してもないのに。
だからこそ気になる。どんな人なんだろう。遠藤くんがチャラチャラしてるんだったら、その友達なら同じなのかな・・・。
そう考えると少し暗い気持ちになった。タクミという、さっき会ったばかりの、名前しか知らないその男の子のことがどうしてこんなに気になるんだろう?
麻美に散々からかわれながら駅について、電車に乗る。
あたしと麻美の家がある駅の3つ手前に少し大きなショッピングモールがあって、麻美が突然そこに行きたいと言い出した。
「だって考えてみたら明日からまた部活だし・・・ちょっと遊んでいこうよ」せっかくテストも終わったことだし、それもいいかもしれない。
そうだねと言いかけて思い出した。
「あ・・・・だめだ。ごめん麻美。お母さんに頼まれてることがあったんだった」
「えー残念。じゃあ1人でもフラフラしてこっかな。」
麻美が本当に残念そうな顔をするから、あたしはなんだか申し訳なくなった。
「麻美と久しぶりに行きたかった。ごめんね」
「ううんいきなり誘ったんだし。・・・でも偉いねいつもお母さんの手伝いして。」
あたしは少し恥ずかしかった。高校生になってからみんなはあたしよりずっと自由に見える。夜まで遊んだり、アルバイトして自分のお金で買い物したり。
あたしの家は門限も早いし、アルバイトも禁止だ。お小遣いをもらってるから、手伝いを頼まれたら、なんとなく断りづらい。
「ぜんぜん、大した手伝いじゃないんだけどね」
あたしはそう言うぐらいしかできなかった。麻美がショッピングモールのある駅で降りて、またねと手を振り合う。
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