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隆は、高校1年から美佐子と同じクラスだった。
その頃から、美佐子はいつも絵を描いていた。
美佐子は、無口で、あまりほかの生徒と話をしているのを見たことがない。
隆も美佐子と、話をした記憶がなかった。
「美佐子はどこの学校を受験するのだろう」
絵を描いている美佐子を見ながら、隆は思った。
「美大かな」
隆は、自分が何となく受かりそうな大学を受験しようとしていることが、急に恥ずかしいことのように思えた。
美佐子が、美大を受けるためにいつも絵を描いているなら、自分はこのままでいいのだろうか。
そう思うと、何かいたたまれなくなった。
いつも、俊樹が助けてくれる。
自分は、笑っていればなんとか乗り切れる。
でも、この先、このままでいいのか。
隆は、美佐子を見ながら考えていた。
さっき、笑っていた美佐子の顔が思い浮かぶ。
美佐子も本当は思いっきり笑いたいのではないか。
美佐子は、受験のために頑張っているから笑えないのか。
どうして、笑えないのか。
そんなことを考えいてたら、隆は美佐子に話しかけていた。
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