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「わたし。いっぱいかいて、お墓にもっていくの」
美佐子は、下を向いたまま、話をつづけた。
「お父さんの、お墓に、供えるの」
「ちがうよ」
美佐子は急にまじめな顔になった。
「ぜったいに秘密だよ。わたしのお墓に持っていくの」
「どうして」
隆は、驚いて声を上げた。
「神様への、あてつけ」
美佐子は、まっすぐに隆を見ていた。
「お父さんを助けてくれなかったから。あてつけに、いっぱいかいて、絵をもっていってやるのよ」
「そんな!ぼくが墓場まで持っていく!」
隆は、叫んでいた。
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