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「美央を本気にできないのは俺のせいだな」 ……チクリと胸の奥が痛む。 名もない劇団で鳴かず飛ばずだった私を引き抜いてくれたのは拓郎だ。 その頃は、単なる友人の一人でしかなかったのだけれど。 お芝居をすることでしか存在意義を見出だせないくせに、誰からも演技を認められない。 行き詰まった生活の中で、唯一差し伸べられた優しい手を縋るように掴んでしまった。 このままじゃ私も拓郎も……。 「ごめんね、拓郎」 吐き出した言葉は、驚く程に掠れて。 悲しげな笑みを浮かべる彼の耳元を辛うじて震わせる。 身体の中心を抉られるような痛みを振り払い、私はドアに向かって駆け出した。
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