紅いルビー

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「こ、今回は楽勝だったな」 ニカッと笑うマリク。 全身が傷だらけでは全く説得力がないけれど、とりあえず無言で頷いて、その頭を優しく叩く。 「そうね。 マリクのおかげで適当に暇潰しになったわ」 瞬間、マリクの目線が横に游ぐ。 まぁ、あれだけ 「うわ、蜘蛛気持ち悪い!ちょ、無理、無理だから!?」 と、騒いでいたにしては頑張ったと認めてあげなくもない。 実際、万が一に備えて持ってきた、睡眠や魅了の効果を発揮する指環も使わずにすんだ。 でも、それを面に出す必要性を感じないので、無言で宝箱の中を探る。 ガラクタに埋もれて時間がかかったけれど、ようやくの手応えに手を引き抜くと、そこには、紅く輝く大きな情熱の石。 「うわぁ、デカイ」 マリクが目を丸くしながら、嘆息する。 私の拳と同じくらいある、大きなルビー。 今回のミッションは大成功ともいえる成果だ。
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