9人が本棚に入れています
本棚に追加
「こ、今回は楽勝だったな」
ニカッと笑うマリク。
全身が傷だらけでは全く説得力がないけれど、とりあえず無言で頷いて、その頭を優しく叩く。
「そうね。
マリクのおかげで適当に暇潰しになったわ」
瞬間、マリクの目線が横に游ぐ。
まぁ、あれだけ
「うわ、蜘蛛気持ち悪い!ちょ、無理、無理だから!?」
と、騒いでいたにしては頑張ったと認めてあげなくもない。
実際、万が一に備えて持ってきた、睡眠や魅了の効果を発揮する指環も使わずにすんだ。
でも、それを面に出す必要性を感じないので、無言で宝箱の中を探る。
ガラクタに埋もれて時間がかかったけれど、ようやくの手応えに手を引き抜くと、そこには、紅く輝く大きな情熱の石。
「うわぁ、デカイ」
マリクが目を丸くしながら、嘆息する。
私の拳と同じくらいある、大きなルビー。
今回のミッションは大成功ともいえる成果だ。
最初のコメントを投稿しよう!