9人が本棚に入れています
本棚に追加
/15ページ
「なぁなぁ、これでどれくらいの稼ぎになるんだ?」
目をキラキラと輝かせるマリク。
私はなんとも残酷な返事をせざるをえない事に、少し心の奥が痛む。
「タダ働きよ」
瞬間、マリクの顔が落胆と困惑に染まる。
トレジャーハンターの仕事は、他者からの依頼、もしくは自分達の直感頼みでのダンジョン探索。
他者からの依頼の場合、失敗しても生きてさえいれば手間賃は手にはいるが、自分達の直感の場合、ダンジョン探索をしてもお宝がなければ稼ぎは0になる。
そのかわりに、手にいれたお宝は全て自分達のものになる。
今回の場合、前者に該当し、お宝はあった。
けれど、それを売却する予定がないので0になる。
説明してもいいけど、街に戻ってカミラク達と合流したら全て分かるし、実際に見た方が早い。
ゆえに、ここでは一言のみ。
「お金より価値のあるものが見えるわ」
最初のコメントを投稿しよう!