紅いルビー

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「なぁなぁ、これでどれくらいの稼ぎになるんだ?」 目をキラキラと輝かせるマリク。 私はなんとも残酷な返事をせざるをえない事に、少し心の奥が痛む。 「タダ働きよ」 瞬間、マリクの顔が落胆と困惑に染まる。 トレジャーハンターの仕事は、他者からの依頼、もしくは自分達の直感頼みでのダンジョン探索。 他者からの依頼の場合、失敗しても生きてさえいれば手間賃は手にはいるが、自分達の直感の場合、ダンジョン探索をしてもお宝がなければ稼ぎは0になる。 そのかわりに、手にいれたお宝は全て自分達のものになる。 今回の場合、前者に該当し、お宝はあった。 けれど、それを売却する予定がないので0になる。 説明してもいいけど、街に戻ってカミラク達と合流したら全て分かるし、実際に見た方が早い。 ゆえに、ここでは一言のみ。 「お金より価値のあるものが見えるわ」
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