紅いルビー

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「な、夢をマリク君は見てたんですね~」 クスクス笑うセリパ。 その横では、放心状態のマリク。 実は、あのときマリクは私に対して魅了状態にあり、そのまま睡眠状態になった。 で、それを『夢喰い』の指環で私は覗いていた。 もちろん、使用期限ギリギリの指環を無駄にしないための遊びだったわけだけど、まさかここまで面白いモノが見えるとは思わなかった。 「まぁ、マリクも男の子だと言うことだろ? セリパも気を付けないとな?」 奥からカミラクが紅茶を淹れてきた。 カミラクお手製のブレンドのこの紅茶は、原材料を一般人が知ったら卒倒するような物を使っているけれど、疲労回復効果は抜群で、私もセリパも美味しくいただいている。 マリクも毎回飲んでいるけど、その原材料はまだ教えていない。 「く、くそ!みんなで俺を笑い者にしやかって!」 顔を真っ赤にしながら怒るマリク。 その姿すら可愛く思える。 「まぁまぁ、今回はナゴも少し度が過ぎたかもしれないが、油断したマリクも悪い。 ナゴだったから良かったが、悪~いやつだったら、今頃売り飛ばされてるかもしれないぞ?」 そう言われては、マリクも黙るしかない。 『自分の命は自分で守るが基本』のトレジャーハンター。 マリクとて、それが分からない初心者ではなくなっているのだから。 「まぁ、今回は私の依頼だったし、今宵の"祭り"に招待するから、それで機嫌を直せ」 「え、祭り!?」 やはりまだお子ちゃまなのか、"祭り"という言葉に反応して目を輝かせるマリク。 私とセリパは苦笑するも、『まぁ、それも経験』と、何も言わない。 「へへ。ちょっとお金あるし、りんごあめは食べるとして、綿菓子も食べたいな。 金魚すくいに輪投げもしたいし……」 指環を使わなくても分かる。 マリクの頭の中は祭りで遊ぶ事でいっぱいだ。 そんなマリクを前に、私たち三人は苦笑するしかなかった。
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