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 中学二年の夏に、亘琉と知己が気まずい雰囲気になってから、卒業するまでふたりの仲が元通りになることはなかった。亘琉を通じてでしか、知己と話すことがなかった暁人も当然知己とは疎遠になった。  成績も同じくらいだった亘琉と知己は、近くのサッカーが盛んな県立高校に行くのだと思っていたが、そこへ入学したのは亘琉だけだった。知己はなぜか暁人と同じ私立の高校に入学した。  だがやはりふたりは離れられなかったのだろう。  高校に入学して間もなく、地元で亘琉と再会した。その、あまりにも幸せそうな様子に思わず「知己となにかあったのか?」と聞いてしまうくらいには暁人も動揺していた。  不躾な質問に、はじめは面食らった様子の亘琉だったが、やがて頬を染め、こっそりと打ち明けてくれた。 「んーと……アキにだけ話すね。実は……知己とつきあってるんだ」 「そう、なんだ」 「びっくりするよね……男同士だし、変なこと聞かせてごめんね。気持ち悪いよね」 「そっ、そんなことない! その……びっくりはしたけど、気持ち悪いとか思ってないから」  暁人からすれば自分も同じであるし、そんなことを思うわけがない。  亘琉と知己のことで、想像が確信に変わったことに動揺していたのだが、もちろんそんなことを知らない亘琉は、唐突なカミングアウトに暁人が戸惑っているのだと勘違いしていた。  だから暁人の言葉にほっとした様子を隠そうともせず、やがて笑顔になった。  きっと、こういう素直な亘琉だからこそ、知己も好きになったのだろうなと思う。暁人だって亘琉のことは大好きだ。だがそれは知己に対する好きとは違う。
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