第5章 メンヘラってなあに?

4/8
前へ
/72ページ
次へ
その女は、どう見ても雛形あきこには似てなかった。 頬を指して 「この辺とか似てませんか?」 と聞かれてもお世辞でも似てるとは言い難い。 芸能人で例えるなら、KABAちゃん似の女だった。 しまった、目の前で停まってしまった。 しかも目も大分合ってる… 私は今までこの手の全く写真と現物が違う女性は放置していた。 「え、どこよー!!」 の連発で少し遠目から見て、相手の反応を面白がって飽きると帰って放置プレーをしていた。 ところが、今回ばかりは逃れようが無い私は、仕方なくその女を乗せることにした。 さあ、どんなドライブになる? 果たしてピンクの西洋風のお城…つまりラブホテルには行けるのか? そして、今後の進展はあるのか? そんなこんなでしばらく無言が続き、相手はこちらが話しかけるとしゃべる程度であまり自分から話をする事がなかった。 そして次の瞬間、不意に相手が携帯を触り出した時に見てしまった。 相手の左手首の少し下当たりには無数の切り傷があった。 リストカット…そう、略してリスカである。 またかよメンヘラ…と思いつつ大きなため息が出た。
/72ページ

最初のコメントを投稿しよう!

36人が本棚に入れています
本棚に追加