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彼の体は謎の病原菌に蝕まれていた。
…病原菌の内容は日に日に全身が細菌状態になっていき、時間が立つごとに菌の威力も上がっていくものだ。
しかしこの病原菌の恐ろしいところは本人は細菌状態になってもなんともない所である。
痛みを感じるわけでもなければ、だんだん死に近付いていくわけでもない。
―そう。被害を受けるのは周りの人間だ。
…始めに死んだのは愛しい人だった。そして友達、家族、みんな死んだ。
病院にいっても先生が死に近付く者も皆死んだ。
彼に触れた人間は強力な細菌に侵されすぐに死んでしまうのだ。
いつか彼の半径五キロメートル以内には誰も住まないようになった。
立ち入り禁止区域として厳戒体制を受けたのだ。
五キロメートルを越えれば警備隊によって射殺されてしまう。
…彼は心を閉ざし、一人ベッドの上で妖精の国を思い浮かべた。
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