第1章

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「でもさ、新生科学部でこれからどうするかが問題よね。またなんか謎を解かないと」  受付が終わったとの連絡を受けて現れた千晴がそう言って笑う。その後ろには迅と優我の姿もあった。 「それだよな。まだまだやることがあるんだ」  部長として引っ張っていかなければならない桜太は渋い顔になる。 「緩くていいんじゃないか。あの七不思議だって何となくやり始めたわけだしさ」  迅が数学パズルを解きながら適当なことを言う。しかし、そのいつもどおりな空気に桜太は安心した。 「あれだな。今年から引退は夏休み明けになったし、俺たちはもう一回楽しめるわけだ」  優我も相変わらず図書室から物理の本を借りてきていて、早速読みながらそんなことを言っている。借りてきていたのは以前に図書委員の悠磨が読んでいたヒッグス粒子の本だ。 「そうだな。結局は変人の吹き溜まりだ」  桜太はそう笑うと、自分もブラックホールについての本を鞄から引っ張り出したのだった。 ――了――
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