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『脳筋』の朝は早い。
まだ太陽も顔を出していない早朝、毎朝の日課である筋力トレーニングの一つ、ランニングを『彼』はしていた。
息を吐くたびに白い息が漏れ、外気にさらされる肌は寒さに震える冬真っ只中にも関わらず、『彼』こと『高木 幸助』はタンクトップに7部丈のジャージという服装で、河原の土手を全力疾走で駆け抜けていた。
「ハハハハハッ、今日もなんて素晴らしい朝なんだろう、天気も良いし空気が美味いし、最高のランニング日和じゃあないか。このまま山の山頂まで走り込みと洒落込もう。」
と、一切息を上げずに走る幸助だが、この町では色々な意味で有名人である。
筋肉に対して異常とも言える拘りがあり、暇さえあれば筋力トレーニングを欠かさず行っている変人なのだ。
また、困っている人がいればすぐさま助けようとするお人好しな人物である。
こういった場合の人間は助けようとするが逆に足手まといになる者と、漫画等のヒーローのように颯爽と現れ助ける者の2つに分かれるが、幸助の場合は後者に当たる。
先日もトラックに轢かれそうになっていた子供を助けようとして、代わりに轢かれそうになっていた大学生の男性をトラックから助けたり、帰り道に不思議な光に包まれ動けなくなっていた2人の男子生徒を、その光から目にも留まらぬ速さで助けたり、頭上から落ちてきた鉄骨を受け止めカップルを助けたりした等。
数えたらキリがないくらいに、多くの人を危険から助けていた。
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