夢見る貘は揺籠で眠る

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夢見る貘は揺籠で眠る

 キィ、と扉が鳴った。 「……おや?」  足元で風が動く。椅子から上半身だけ反らし、表へ出る扉を見ると……案の定。  ぴったりと閉じられていた筈の扉が、風に揺れている。  男は手に持っていたコーヒーカップをソーサーに戻し、やれやれと息を一つ吐いた。 「またあの子は勝手に飛び出して……泣いて戻らなければ良いけれど」
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