夢見る貘は揺籠で眠る
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怒りに任せて叩き落としたコンパクトは、砂地の上であっけなく割れた。 ケースの表面についていた飾りも、中身の化粧品自体も砂にまみれて粉々だ。 「だいじょぶ?」 心配顔で覗き込む夢奈にも腹が立つ。 母親の大事な物が、こんなに簡単に壊せるものだという事も、腹が立つ。 きっとこれで、また殴られる。 たくさん怒られる。 こんなに、簡単。
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