夢見る貘は揺籠で眠る

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「ばいばーい! またあした、遊ぼねぇー!」 「明日、学校でねー!」  夕方5時。  家にそのまま帰る子供、塾へ向かう子供。  もう一度別のグループに混ざって遊びを続行する子供。  皆それぞれの目的の場所へ移動する。  ここは町の片隅にある公園。  すぐそばには市営住宅が立ち並び、この公園はそこの子供達の憩いの場となっていた。  5時のメロディーが流れても、聞こえない振りをした子供達はまだ遊ぶ。  でも、市営住宅の方角から来るのは夕飯のいい匂いばかりでは無い。  なかなか戻らない我が子を迎えに、母親たちも出てくるのだ。 「こらっ! 5時の音楽が聞こえたら帰っておいでって、いつも言ってるでしょ!」  叱られながら、1人、また1人と、子供達は家へと帰っていく。  子供達の声が減り、公園は役目を終えていく。  ーーしかし、たった1人砂場に残る少年が居た。  そろそろ家に帰ろうと思っていた夢奈(ゆめな)は、ふと足を止めた。  その子は自分と同じ位の年に見える。 砂場の隅にしゃがみ込み、何やらやっている。
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