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「ねぇ。何してるの?」
夢奈が声をかけると、少年の肩が驚いたようにビクッと持ち上がり、それからゆっくりと夢奈へと顔を向けた。
ぱっちりとした二重の、かわいらしい男の子だ。
声を掛けてきたのが自分と同い年くらいの夢奈で安心したのだろうか。怯えたような瞳は、直ぐきついものと変わり、夢奈を睨みつけた。
「うるせぇ。あっち行ってろ」
ぞんざいな口ぶりに怯むことなく、夢奈はさらに少年の手元を覗き込んだ。
小さな手のひらで、砂場の一番隅っこを何回もぱんぱんと叩いて固める様子は、何かを埋めたと一目瞭然だ。
「何を埋めたの?
お花のタネ? ドングリ?」
少年の正面に回り込み、夢奈は同じようにしゃがみ込んだ。するとそれが癇に障ったのか、少年は突然、夢奈の肩を思いっきり突き飛ばした。
きゃあっ、と夢奈は後ろに尻餅をついた。
真後ろに生えたつつじの生垣が、クッションのように夢奈を支える。
痛ぁい、と顔を上げると、少年はバツの悪い顔をしつつも謝るつもりは無いらしい。
「お、おまえが近づくから、いけないんだ!
早くどっか行け!」
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