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フリード&バレッド
「なあ、フリード。俺、アップルパイ食べたい」
あるイベントからの帰り道にバレッドはいきなり、そんなことをいい始めた。フリードにとっては迷惑極まりないお願いだった。何でそんな面倒な物を私が。ともう既に顔に書いてあった。
「買ったらいいじゃないですか」
「買っても美味しくない上に高いだけだろ。やだよ。フリードが作ったのがいい」
「何で私が、ヴェルディに頼んでくださいよ。あの人だって、料理上手ですよ」
「そう?……フリードの方が美味しいから。上手だぜ。俺はフリードの方がいい」
「…………私がそんな簡単な口説き文句に唆されると思ってるんですか」
じっ、とフリードがバレッドを睨むが、バレッドには全く効果がない。本当に扱いにくい性格だ。いや、仕事のパートナーとしては最高なのだが、時々、拘らなくていいところで頑固になる。これがなければ、パートナーとして、いうことはないのだが。
「じゃあさ、今回のイベントの報酬、分け前いらないから、アップルパイ作ってよ」
「は!?何言ってるんですか、馬鹿ですか」
「馬鹿じゃないぜ。本当にいらない。だから、アップルパイ作ってくれる?」
「本当に訳がわかりません。貴方、今日一日、タダ働きになるんですよ。わかってるんですか?」
「それより、アップルパイが大事」
「…………仕方ありませんね。本当に分け前はないですからね」
「いーよ、アップルパイ!材料買いに行こうぜ!」
「そんな、急がなくても……!」
結局、バレッドに折れたフリードはアップルパイを作っていた。しかも、材料費まで、バレッド持ちだ。意味がわからない。
目の前のカウンター席で、楽しそうにバレッドがその様子を眺めている。何が楽しいのか、フリードには全く理解不能だ。
「貴方は本当に変ですね」
「フリードは本当に現金だよな。それで、手料理食べれるなら、いいや!」
「所持金なくなりますよ」
「だーいじょーぶ。俺、強いから」
「は?」
「強い間はフリードに捨てられないだろ?」
にっこり笑うな変人、フリードは心中で毒づく。そんな本心を隠して、フリードもにっこり笑った。
「少しでも弱くなったら、ぽいっと捨てますからね」
(うおおお!アップルパイ!)
(めっちゃ美味しい!!)
(うるさい!)
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