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ある日、私は直樹と地元から少し離れた個室のあるレストランで、平日昼間に会うことになった。
直樹は、
「僕は、香織のことを今でも愛している。
美穂と結婚したことは間違いだった。
美穂は、僕の財産目当てに結婚したのであって、僕のことを愛していない。
だから僕は、美穂とは別れるつもりだ!」
と、悲しそうな表情で話していた。
直樹の話しを聞いて、私も直樹の悲しみは理解できなくもない。
だからといって、美穂さんとの結婚を決めたのは直樹であって、美穂さんと結婚したことが間違いだったのかどうかは、今の私には関係のない話だ。
私は、直樹にきっぱりと話をした。
「直樹と付き合っていた頃は、楽しかった。
でも、私は直樹とお別れして、今は宏と結婚して、娘の優奈がいる。
今私が愛する人は、宏と優奈であって、直樹じゃない!」
直樹は、さらに悲しそうな表情になった。
私は、ここで直樹に同情してはいけないと自分の心に言い聞かせて、さらに直樹に今の私の気持ちを伝えた。
「私は、宏と優奈のことを愛していて、今の家庭は私にとって、かけがえのない存在なの!
だから、今の私は宏と別れるなんて考えられない。
直樹が、美穂さんと分かれるかどうかに、私はまったく興味がない。」
直樹は、もう何も返す言葉がないようだった。
私は、きっぱりとした態度で直樹に話をすることができたと感じていた。
最後に直樹に約束をしてもらおうと、私は強い口調で話をした。
「直樹と私のことは、お互いの家族に絶対に秘密にしてね!
そして、私に、二度とメールしてこないでね!」
直樹は、しびしぶ首を縦に振ってうなずいた。
話しを終えると私は、早々にレストランを出て帰宅した。
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