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二度目に会ったのは、4日後の土曜日。違う公園だった。警察に通報したから、もうあの男は居ないだろうとは思ったが、逆恨みされて報復なんてされたら堪ったもんじゃない。こっちは小さな子供も抱えている。だから、公園を変えた。
なのに・・・あの男が現れた。
「よう」
無精髭はそのままで、服装はほんの少しマシになっていた。Tシャツの袖を肩まで捲り上げて、筋肉に覆われた腕をさらしている。
ニヤニヤと笑う男の顔を、圭太はマジマジと見つめた。無精髭に覆われた男の、妙に鋭く光る目にドキリとした。
何故とか、どうしてとか、聞きたいことは山程あった。なのに言葉は出て来なかった。口をパクパクと、開けて閉めてをただ繰り返していた。
「まるで金魚だな」
揶揄する響きにカァーと顔が熱くなる。思わずキッと睨み付けると「あの後なぁ」と、笑みを消して男が話し出した。
「警察が来て職質された」
その内容に、ギクリと体を竦めた。
「まぁ、俺は善良な一般市民だから、直ぐに解放されたけどな」
解放してんじゃねぇよ。何か?やっぱり逆恨みされてんのか?
圭太はハッとしたように、砂場で一人遊ぶ風太を見た。
ヤバい。風太が危ない。
立ち上がり、走り出そうとする圭太の腕を、男が掴んだ。
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