死語「おかえり」

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「おかえり」という言葉が必要無くなったのは、転送装置の普及発達もあるが、 そもそも、どこかへ出かけるという感覚がなくなったからでもある。 軍事関係の言葉もそうだ。 転送装置なんて代物が出来てしまっては、何も用をなさない。 和を大事にしなくては、人類は滅ぶだけだという事に、やっと気がつく事が出来たのだ。 彼女達は非常に珍しいカップルだ。 現在は、睡眠装置も普及しているので、2時間で人間の休息は完了する。 だが、この彼は睡眠装置を使わずに、「睡眠」を一つの楽しみとして、貪っている。 だから、彼女は12時間まるまる寝ている彼に対して、「おかえり」と言葉を使っている。 彼女は、6倍もの時間を一生懸命待っていたのだ。 「おかえり」
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