序章

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2012年の9月、うだるような暑さから少し落ち着きを感じさせる23日、夏バテ気味の私と午後からお仕事の主人と遅めの昼食、玉子丼を一緒に食べようとしていたところだった。 急に家の電話が鳴り、それに出ると義妹だった。 まるで寝耳に水の様に、何回も電話した事、義弟が失踪している事、探偵を雇うという事は分かって、私は急いで主人と電話を代わると「うん、うん、分かった。」と電話を切った。 「どういうことなの?」と聞くと「よく分からない、また電話するって」と主人は言った。 すぐに又家の電話がなり、大宮にいる娘からだった。 同じ内容の連絡が彼女にもあったようで、「連絡、あった?」と聞いて来た。 すぐに主人と代わり、とにかく義弟が失踪したという事実があることを確認した。 食事もほとんど摂ることなく、取り敢えず仕事に行って来ると主人は家を出て行った。 私は食事を摂ることも出来ず考えていた「いったい、どうして?なんなの?」と 義弟とは私が17歳の頃、主人と出会った時からの永い付き合いで、彼らはバンドを組んでいて、いつも一緒だった、主人がギター、彼はベースを弾き、私は一人っ子だったから、こんなにも仲の良い兄弟って居るのだなと思っていた。 それがお互い結婚して、同じように女の子と男の子を授かり、義妹も一人っ子だったから数少ない身内として、昨年は、義弟の娘の結婚式に招かれ、お医者さん同士の盛大な披露宴に圧倒され、幸せの中に居るものとばかり思っていたのてした。 すると、義妹から電話がかかって来た。 そこで詳しく話しを聞こうとするも、何か変だ、一向に義弟を心配している感じがしないのだ、しかも、FXに手を出し借金が有ると言う、そこで、宮城に出長している娘が帰って来て、探偵を雇うから、その打ち合わせがあるからと一方的に電話は切れた。 その話を紐解くとこうだ、9月14日の金曜日、朝会社に行きそのまま帰らず一応連休が明けるまで、待つことにしたが会社が始まる火曜日には休む事を連絡して探していたと言うのだが、何か解せない私は思い切って夫婦間の事を聞いてみた。 義弟が失踪してから10日近く経っている事、彼女の言葉が空々しい事、「一体、どうしちゃつたの?」と聞くとそれから話が始まったのだった。
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