165人が本棚に入れています
本棚に追加
/74ページ
「え?光人様?」
「 優。『お風呂』に行こうか。儀式の前に体を清めないと。」
光人は笑顔で言ったが目が笑っていなかった。
「光人様。・・・目が怖いよ。本当に清めるだけだよね?」
「・・・それは優次第かな。私の奥さんはすぐ私を煽るから。我慢できるかどうか・・・?」
「もうこれ以上できないよ!?それに僕、煽ってなんか・・・」
もしもじ恥ずかしがる優の額にキスをする。
「じゃあ、行こうか。」
光人は強引に優を抱えたまま廊下に出る。
「ねぇ、本当に何もしないよね?」
じたばた慌てる優をしっかり抱いたまま、光人はずんずん進んで行く。
「さあ、どうかな?」
いたずらっぽく笑う光人を見て、優は諦めたように光人の首に手をまわした。
「もう、のぼせたら怒りますからねっ」
照れながら優は光人の肩に顔を隠す。そして、ぼそっとつぶやいた。
「その顔は反則です・・・。」
真っ赤になってチラっと上目遣いで光人を見ると、光人もほんのり赤くなっている。
「私は・・・本当に幸せ者だな。こんな可愛い花嫁とずっと一緒にいられるなんて。」
「光人様・・・。僕もすごく幸せです・・・ここに来て良かった。」
見つめあい、二人はそっとキスをした。
これからも一緒だと誓うように。これから始まる幸せな生活を思いながら。
終
最初のコメントを投稿しよう!