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 大吾が少女の金色の瞳を見るのは、祭りの日から数えて二度目であったが、整った顔や独特の雰囲気が交わり、簡単に見慣れるものではない。  最後の一跳び、大吾の目の前に降り立った少女は、ニヤリと笑って道の先を指さした。 「お前を探していた。さあ行こう」 「行こうってどこへ?」 「お前の家だ」 「それは困る」 「お前の魂は私のものになったじゃないか。私の言うことには従う必要があるのだ」 「あれはそういう遊びだったのだろう? つき合っただけでも感謝して欲しい」 「ひどいッ! 私を弄んだのね!」  と、少女が声を張り上げたときに限り、普段、人通りが少ない参道を年配の夫婦が通りかかる訳で。ただでさえ高校生と小学生ほどの少女という怪しい組み合わせだからか、夫婦が疑念を込めた視線を大吾に送っていた。 「ちょ! 止めろバカ! 分かった、分かったから、そういうのは止めて!」 「ほーい」  キシキシ笑う少女を背に、大吾は歩き出す。 「知らない人についていってはいけないと学校では習わないのか?」 「誰かに習ったかもしれないが忘れた。しかし、お前と私はもう十分知った仲ではないか」 「祭りの日か? あれだけで知った仲とは言わない」 「いいではないか。少し話がしたいだけだ」 「話すだけだったら、わざわざ家でする必要もない。歩きながらでもできるだろう。その話とやらが終わったら帰ってくれよ」 「話が終わったらな」  何故、謎の少女につきまとわれているのか、大吾には分からなかったが、歩きながら適当に相手をすることにした。会話をすることで満足してもらい、サヨナラできるのであれば、下手に騒がれたりするよりはいいと考えたのだ。  そうした訳で、二人は話しながら歩くものの、少女はなかなか本題に入ろうとしない。近くの河原に綺麗な石があるという話や、神社の森の近くで野生の狸を見たという話、水族館のサンショウウオに興味があるという話など、取りとめのない話題ばかり。  本題に入らないどころか、歩みはどんどん先に進めてしまい、遂には板塀で囲まれた日本家屋が現れてしまう。家屋を目にした大吾が、苦い顔をして立ち止まった。 「あそこが僕の家だ」  塀のはるか向こう側に母屋が見えるあたり、敷地の広大さが伺える。少女は鼻息を荒くして、大吾の前に立った。
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