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Chapter 5 大切な友達(吹雪)
窓の外を見ると白い世界が広がっている。雪が猛烈な勢いで降っている。
「御古都ちゃん、調子はどう?」
かけられた声の方を向くと若い看護師さんがいた。胸に佐藤とプレートを付けている。
「ちょっと痛いです」
「この天気だとね。やっぱり体調崩す患者さんも増えるから」
窓の外を見ながら言う。
「でも、学校が始まるころには退院できるから」
私は笑って返して窓の外に視線を戻した。
左手首骨折。全治4カ月。
効き手でないということで特に何もなければ、2週間ほどで退院できるらしい。
じっと左手のギブスを見つめる。
--ものものしいなぁ…
私は右手で毛布を持ち上げた。
--よっと。
足を滑らせるように右に移動させてベットから落とした。そのままに下に置いてあるスリッパに足先を入れる。
左手以外は元気なのでやることがないとヒマなのだった。
廊下に出るときにとなりの渡部のおばあちゃんが「みことちゃんお出かけかい?」と声をかけてきた。
私は「ええ」と応えて、そそくさと病室を出た。
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