誰にも言えない秘密

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 次の日の登校中に、あたしは誘拐された。  発見されたのは二か月後。卒業式を一週間後に控えた、さむいさむい日だった。  アイツはあたしが保護されたことを知ると、家には帰らず冬の川に飛び込んで、そのまま死んでしまった。  警察は監禁されていた間に起きたことを話すように言ってきたけれど、あたしは絶対に答えなかった。犯人が死んでしまったため、あたしが言わなければ事件は何も解決しない。  いつもならむくれて話さなくなるあたしを両親は叱るのに、この時ばかりは味方になってくれた。これ以上追及しないで下さいと、無理やり聴取を終わらせたみたい。  二人とも小っちゃい子を相手するみたいに優しいのに、あたしが触ろうとすると体をビクッとさせて怯える。変なの。あたしは犯人じゃないのに。  結局、卒業式には出れなかった。式どころか一度も学校に行けないまま、あたしの小学校生活は勝手に終わってた。  町中が大騒ぎになっていて、夜逃げするみたいに一家で遠い親戚を頼って引っ越しをした。みんなにお別れも言えないのは寂しかったけど、ニュースであたしのことを語っている友達たちはどこか嬉しそうで、きっと心配なんてこれっぽっちもしてないんだろうなと思ったらどうでもよくなった。  あたしはいつの間にか、あたしでない者に変えられていた。  あたし自身は何も変わってないつもりでも、周りはそうは見てくれない。  たった二か月いなかっただけなのに。  あたしがあたしでないとしたら、一体何になってしまったというのだろう。
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