全自動パンツ盗難

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「何処に行く、冷水冬美。下着売り場か?」 「だから行かないっての。また殴られたいの?」  冷水は酷く冷徹に問った。  協力が決まるなり、私を高校から連れ出した冷水。大した説明もなく、無理矢理引き摺られ今に至る。私はすっかり反抗心もなくし、襟首を引かれるがままになっていた。 「私が悪かった。もう、殴るのは止めてくれ……あと、息が苦しい。離して下さい」  この状態では、いつ私の呼吸が止まってもおかしくない。冷水は怪訝そうな様子だったが、「ぬわあ、死ぬう!」と私が何度も叫ぶとやっと解放した。 「で、どこに行く? 貴様の家か」 「どうして私の家に。これから行くのは被害者の家、事件現場よ」 「被害者は貴様ではないのか、冷水冬美?」  何から何まで分からない。依頼をしている側にも関わらず、どうして隠し事をするのだろう。 「おい、冷水冬美。どういう事なのだ?」  私が問うも、冷水は意に介さぬ様子でスタスタと道を進んでいく。この辺りは住宅街になっている。誰かの家を目指してはいるのだろう。  少し間を置き、冷水が口を開いた。 「なら当ててみなさいよ。探偵なのでしょう?」 「そういえば、貴様どこでそれを?」  私はニヤリと不敵な笑みを浮かべた。 「いや、校内掲示板にあんなデカデカと貼り出されてたら、見たくなくても目に入る。しかも無許可で。おかげで委員の仕事が増えたわ」  冷水はそこでやっと私に振り向き、鋭く睨んだ。  彼女の言ったよう、私は校内で独自に探偵として活動している。その為には依頼、つまりは広告が必要だ。そこで利用したのが校内掲示板だった。  そういえば、二日前から張り紙を見ないと思っていた。冷水達、委員が剥がしていたのか。 「さ、出来ないの推理? なら、ここで帰ってもらっても良いのだけど」  澄ました声で挑発してくる。なかなか彼女も根性が曲がっているらしい。 「良いだろう。名探偵江戸川秋、いざ参らん!」  もっとも、私も少々の事で引くようなタマではない。望むところである。
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