第一話 十七歳の君

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「あの、こんにちは。えっと、忙しいところごめんね? この辺にシロサキさんちってありますか? あの、シロサキカズトさんの……」  誰って聞かれても、どうやって説明していいものやら。そう思いながら質問をすると、おばあちゃんが急にニコニコと笑顔になった。 「ああ。ああ。カズの友達かね? ほっか。ほっか。いっつもカズが仲良くしてもろうてありがとうねぇ」 「え? あ、あ、は、はい。って……もしかしてシロ……カズト君のおばあちゃんですか?」  渡辺さんの話を思い出した。この人が白崎さんのおばあちゃんなんだ。  目の前の、ちょっと小太りで、目尻にシワをいっぱい刻んだ優しそうなおばあちゃん。孫が大事で大事で、可愛くて可愛くて仕方なかったおばあちゃん。 「そこ、そこの道をまーっすぐ行ったところの突き当たりだ」 「あ、あそこ? 真っ直ぐ突き当たりね? ありがとう!」  おばあちゃんが指さしたのは家と家の間にある細い道だった。車の通れない一メートルくらいの幅の舗装された道。右も左もこじんまりとした家が建ち並んでいる。まーっすぐな道はひたすら続いていた。行けども行けども突き当たりにならない。  本当にこの道であってるのかな? あってるよね? 白崎さんのおばあちゃんが教えてくれたんだもん。  突き当たりとは言われたけど念の為だ。俺は右と左の玄関の表札を見ながら歩いた。  あちー……。  前方でキャーキャー高い声。小学生低学年くらいの子供達が三人、水鉄砲で遊んでた。ちゃんと帽子も被ってる。俺もキャップ欲しいな。 「ねぇねぇ。白崎さんちってここら辺にある?」  子供達は「へ?」って顔をして首をブンブン振った。  知らない顔にビックリしているみたい。 「そっかぁ、ごめんね?」  無言の子供達にヘラッと笑って退散する。不審者とか思われたら厄介だ。どうしよう。どこまで行けば突き当たりになるんだろう。不安になった頃に大きな神社の境内みたいなところにたどり着いた。  ここ……突き当たりだよね? え? 白崎さんちって神社なの? 
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