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「それでは、これより平成二八年度の東京フタバ商事年度末営業会議を……」
進行役の江崎部長の声で会議はスタートした。
会議が始まって、すでに一時間が経過するところだった。
すでに、良彦の営業一課の報告が終わり、二課の前川の担当の時には、
山本加奈が機転を利かし、事前にプリントアウトした必要書類を課長に
渡していたことも幸いし、会議は無事に終了した。
自分のデスクに戻り、前川の方に目をやったが、未だに来ている様子はない。
良彦のそぶりに気がついたらしく、加奈が不在のジェスチャーをしていた。
良彦は確認するために加奈のデスクに立ち寄った。
「加奈ちゃん、どうだった。前川のやつ」
「それが……」
加奈は周囲に注意をすると小声で話を続けた。
「実は、奥さんが電話に出られたんですけど先週の金曜日から行方がわからない
らしいんですよ」
「なんだって!」
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