そう言って彼女は笑った

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同じ制服を纏った生徒達がぞろぞろと正門を潜り抜ける。私もその波に逆らうことなく、教室へと向かった。 城成高校に進学してから、3ヶ月が経った。しかし、同じクラスでも、私に話しかけてくる者はいない。 この高校は、都内でも有名な進学校で、世の中では高学歴と呼ばれる大学へ進学する者達が多く入学していた。そのため、中学生の頃から学年で1~10位以内の成績をもつものばかりだ。 私はといえば、幼稚舎からのエスカレーター式でそのまま高校まで上がってきた身だったが、中学にいた頃から学年の中位におり、他校の優秀な生徒が入学してきたために、私の順位は下から数えた方が早いほど下がってしまっていた。 この城成高校は、高校までがエスカレーター式で、大学は各有名大学へ自ら選択していけるシステムとなっていた。つまり、偏差値の高い大学へ入るための高校といっても過言ではなかった。 エスカレーター式の生徒は、特に頑張って勉強しなくても、簡単に進学できた。それも、ほとんどの生徒の父親が多額の寄付をこの学校にしていたからだ。私もそのうちの1人だった。
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