そう言って彼女は笑った

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幼稚舎から知っている顔はあったが、皆それぞれに新しく転入してくる生徒と仲がよくなり、いつの間にか私の周りには誰もいなくなっていた。 別にどうってことはない。私が勉強をしないのは、する必要がないからよ。汗水垂らして必死にもがいて背伸びして、ようやくこの高校に入るなんて馬鹿みたい。努力しなくたって勝手に進学できるんだもの。どうしてわざわざ勉強しなければいけないのか私には理解ができない。 中途半端な小金持ち同士、傷を舐めあって仲良しこよししていればいいわ。 私は、必死に勉強している生徒を心底見苦しいと感じ、見下していた。努力しなければ上にあがれないなんて可哀想ね。そう思った。
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