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「…じゃあ、アヤコさんは…?」
と僕は恐る恐る訊いてみた。
「私もセイバードール関係者志望よ」
澱みも迷いもなく、予想通りの答えだ。
「…心残りが有るとすれば、こうして
自由に観戦するのが出来なくなる事ね…」
履き違えば、僕と会えなくなる事かな?
ともとれるが、恋愛感情は微塵もない。
僕とユリウスを見る目が全然違うからだ。
後から思えば、アヤコさんとはそれっきりだ。
あの時にもっと色々話をしていれば…とも思う。
僕はアヤコさんの言葉通り、後悔したくない。
たった一度の人生を生きるのは誰もが同じ。
「あの時、ああしておけば…」と悔やむ程
今の日本に職業選択の不自由はない。
それに自負もある。
高校生なので、賭博は禁止されているが
(賭博は二十歳を過ぎてからっ!)
毎週の優勝予想的中率は、かなり高い。
テレビや雑誌の情報だけでなく、ファームに
観に行ってまで得た知識は、的を射ていた。
アヤコさんからの情報の擦り合わせで
口論になる事もしばしばあったが、
それはそれで僕のデータベースになった。
僕はその想いを胸に、父さんに言うことにした。
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