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「雅弘にも試した事だが、テストする」
「て、てすとぉ…」
テストと聞いて学生の僕は強張る。
何かを試すから、テスト。勉強か?
はたまた素質に関する適性か?
「何…簡単な事だよ。緊張するでない。
おいっ雫(しずく)。彼女達を此処へ」
雫と呼ばれた、先程の綺麗な女性は
一礼をすると部屋を後にする。
「孫に隠して居たのは申し訳ないと思うが
わしも、七光りだとか、二世が嫌いでのぉ…
押し付けて成らせるよりは自然に。そう思う」
「…はぁ…」
何だか分かったようで分からないような
曖昧な返事でお茶を濁したように交わす。
「ユウジも熱心にファームに来ていたの。
遠巻きながらに孫の成長を観ておった」
僕の真っ直ぐな成長が嬉しいのか
厳格な顔を緩ませて、笑みを見せる。
「…テストとは、何ですか」
僕のお祖父さんではあるが、見慣れぬ
様子に教師に対する口調で質問する。
「…センスと見抜く力…そんなとこかの。誰にも
やる事だが、ヒントを言うのは甘いかのォ…笑」
コンコン。「失礼します」
雫さんが戻って来たようだ。扉の向こう
からハキハキとした声が聞こえる。
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