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「えっ…でも。。。」
僕は即答出来ない。高校2年生だ。
卒業まであと1年ある。出来るのか?
…と思うのも、ドールの調教は仕事だ。
朝の練習から始まり、世話・管理するなら
1日の大半をドールに費やす事になる。
学生の身分で務まるだろうか?と不安になる。
「ユウジの高校にわしは顔が利く。
その気があれば、一声で東卓高校への
転校も難儀な事ではない。どうだ?」
僕が考えあぐねていると、用事を済ませた
雫さんが更なる言葉を連ねて僕を誘惑する。
「勲オーナーは、ファームとして
東卓高校の使用を望んでおります。
新規ファームに足りないモノは無いでしょう」
「亜矢虎も住み慣れた場所を離れるより
ここに居た方が戸惑いも少なかろうて…」
オーナーの都合で移籍を繰り返すドールに
あまり将来性を多く見込めない。そうして
潰れていったドールを僕も知ってるから…
亜矢虎をチラッと見る。
選ばれた事による喜びと、移籍の不安が
入り交じる複雑な表情を見せている。
隣の双華も、移籍や引退により別れの
経験が有るようで「居なくなるの…?」と
不安を隠しきれずに亜矢虎を見ている。
まるで組織ぐるみでハメられたようにも思う。
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