セイバードールは人気者

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「おぃっ?!あんな技をユリウスは 今まで隠していたのかっ?!」 驚いているのは僕だけではなかった。 会場にいた客のほとんどが初めて目にする ユリウスの隠し技に驚きを隠せない様子で 勝利宣言を受け、誇らしげに微笑むユリウス に対して拍手ではなく、動揺を隠せない どよめきの声が包んでいた。 「渡辺オーナーも粋ね。今年最後の 決勝の舞台で『三千世界』を使うなんて」 ファームまで観に行く程のファンである アヤコさんは、密かに練習していたのを 知っているようであった。 年明けに発売された「週刊セイバードール」 ではユリウスの三千世界が大々的に特集され 「準決勝での負傷は狙ったモノ」だと語り ユリウスの隙を減らす結果になった。 年明けのドール公式戦は、大きなモノはない が、かといって小さなモノでもない。 僕はそんな最中に、ある重大な問題に 直面する事になった。が、逃げるように 毎週のように来ている、闘技場に来る。 「どうしたの?元気ないみたいね」 アヤコさんは鋭い。…というか毎週のように 会っていたら細かな変化に気付くのだろう。 僕の後ろ姿と顔色で直感したようだ。 「小さくはないけど、大きな問題だよ… 年明けのセイバードール戦のようにね」
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