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それが彼女との出会いだった。
彼女が頼んでくれたお揃いのセットハンバーグを食べながら僕はどうしても行きたい大学があり、でも経済的に予備校には行けないから気分転換も兼ねて場所を変えて勉強していることを話した。
そっか、と。
深く頷いて。
私はね、拒食症になりかけちゃってたみたいでね、
ウチに帰っても何にもつくる気がしないし夕飯もコンビニやお菓子で済ませたりしちゃって。
だから今日は助かったわ、いつもより食べれたし。
でも彼女の皿のハンバーグもご飯も半分残ってる。
ジュースバーのコーヒーを飲みながら、
じゃあ君は勉強場所が増えると助かるわけかあ。
しばらく考えて彼女は顔を上げた。
頼まれてくれるかな?
と、いうわけで僕はここで夕方前から留守番をす
ることになった。
彼女のアパートで。
あと
晩御飯の食材を買ってきて欲しいの、それで一緒に作って食べて欲しい
これは私の希望
そのかわり英語を私は教えるわ
わからないとこはできるだけ教えてあげれるかもしれないし。
塾のバイトをしてたしね。
テキストを見ると何でかムキになっちゃうのよね
と笑った。
あともうひとつ頼みたいのよね… 。顔を寄せて小
声で囁く。彼氏になってもらえないかしら?
私、ストーカーにつきまとわれてるの。
ギブアンドテイクで決まった。この取り決めを決めた時に律儀な彼女は次の休みに家の母に会いに来た。
息子さんを心配されるといけないので、とあらかたを話した彼女だが。
ウチはオトコだから大丈夫だよ、わざわざ悪かったねーと母はワハハーと笑った。
英語をみてもらえるなんて助かるし、と彼女のお土産のケーキをパクパク食べながら、食べてる時だけが幸せだわねーなんてズレた会話をしている。
彼女は家の母が入れた紅茶を飲んでニコニコしてる。
それ、美味しいのかな?不安が残る。
ハハオヤが紅茶を飲んでるとこを初めて見たし。
受験前の大事な時ですから息子さんにはなるべく迷惑をかけないようにします、という彼女を見てたらどっちが過保護なんだか(笑)
でも彼女が書いてきた住所のメモが冷蔵庫にナナメに貼ってあって笑えた。母なりに気にはなったらしい。
彼女の事が、である。
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