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この日のご飯はお味噌汁に生姜焼き、付け合せはキャベツの千切りにトマト。
キュウリを甘酢に漬けるとピクルスみたいになるってネットの料理アプリにあったから冷蔵庫にそれも仕込んでおいた。
僕はハハオヤとずっと2人だったから見よう見まねで料理はずっと作ってきた。
だから一緒に作るといっても彼女のする事は、ほぼない。
今日も肉を焼いたら出来上がった。
それでもおいしいおいしい、と食べる彼女を見るのは楽しい。
一時期より食べる量も増えたようだし。
ほっぺも少し丸くなって健康的になった彼女を見て僕はオカンのようにうんうんと頷いて満足した。
ポツポツと話してくれた事をまとめると、ストーカー男は近所に住んでいるらしい。
以前彼女は定期を落としてその男に拾ってもらった事がきっかけだった。
交番で何がしかの品物とお礼を言うように言われた彼女は律儀に菓子折りを彼の所に持っていったのだが…。
それから映画にいきませんか?とかあそこのテーマパークはどうですか?とつきまとわれてしまったそうなんだ。
そのつもりだったのか後を付けてきてたらしく、住んでるアパートの近くをちょろちょろされ始めた。
彼女もさすがに気持ちが悪くなってきた。買い物をする余裕もなくなって …コンビニの惣菜でしのいでいるうちにとうとう食欲自体がなくなってしまったのよね、とため息をついた。
しばらくして。
彼女がまだ帰って来るには早い時間に
「ピンポンー」とチャイムが鳴った。
どちら様ですか?と聞くと「内田です」と答えたのでドアを開けると。
小太りの銀縁眼鏡の男が立っていた。
いきなり、
君は彼女にふさわしくない、と静かに説教された。
君はヒモだ。
彼女はキチンと働く社会人と付き合うべきだと話しながらじりじりと詰め寄られる。
どんどん寄ってきてこのままでは玄関から捻じ込まれそうになる!
入れるわけにはいかない!
「待ってください!今僕が出ますから!」
なんとか外に押し出して僕はドアを背にしてハアハアしたいのをなんとか耐えた。弱みは見せたくない。
僕はストーカーよりはマシだと思うけどなあ…
それに僕はいつからヒモになってんだ?なんて考えて言葉に詰まってハアハアあわあわしてたら…。
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