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「あんたがこの娘を好きなのは勝手だけどこの娘がヒモを好きなのも勝手だと思わないかい!そんな事をとやかく言うんじゃない!」
メガネの前に仁王立ちである。
まだ何か言いたそうに
「ううう…」と唸ってるメガネに
「分かったら潔く諦めな!分かったね!」
さあ、ウチに帰りな!
と体良く追い返してしまった。
ハハオヤは未練がましくチラチラ振り向くメガネを睨めつけ続け、角を曲がるまで見届けた後に今度はこっちを振り向いて
「たまには挨拶を、と思って来てみたらさ、こんな事になってたのかい。
お前言われっぱなしじゃないか!だらしないねえ!
それにお前はいつからヒモになってたんだい?
ま、いいか。
お腹すいたからご飯にするよ!私もお邪魔していいかい?」
おかずも持ってきたし、と喋りながら振り回してた袋を差し出された。
さっきからコロッケの匂いがしてたのはこれか…。
きっと中身は粉々であろうコロッケを受け取り彼女を見ると後ろで吹き出すのを我慢してた。
まだ鼻息の荒いハハオヤと彼女が同時に言った。
ただいま!
おかえり!もう笑うしかないよ。
さあ、ドアを開けて晩御飯にしよう。
ドアを閉める時に彼女は僕のシャツをそっとひっぱって僕の耳元で「格好いいお母さんね。」
と信じられない言葉を発した。
これをハハオヤに話したら単純なあのヒトは嬉しくて天まで飛んでいきそうだから、黙っていようか目下悩み中である。
完
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