1章 プロローグ

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ペタ ペタ ペタ 誰かが裸足でこちらに向かって走ってくる音。 ペタ ペタ ペタ ほどなく、窓から差し込む、わずかな月明かりの中に、寝巻き姿の一人の女が姿を現した。 年は30代後半くらいか。 髪を振り乱し、息を切らしながら、必死になって走ってくる。 が、すぐに、女は、壁に突き当たると、あわてて、後に向き直った。 ひどくおびえた表情で、壁に背を押し当てたまま、じっと、今、来た方を凝視している。 そうしていると・・・。 何者かがゆっくりとこちらへ向かって近づいてくる気配。 やがて闇の中から一人の男がヌルリと姿を現した。
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