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敵は拠点を制圧して気がゆるんでいるようだった。不思議なことに戦闘の大勢は決したという空気が流れている。テルが小隊をやり過ごすと囁(ささや)いた。
「やつらは戦闘中って感じじゃないな。戦勝パレードでもしてるみたいにでかい音を立てて歩いてくる」
「ああ、ほんものの戦闘なら、勝負はついた。だけどこっちは誰かが夜明けまで生き延びれば勝ちだ」
タツオがそういって身を隠していた岩陰から立ち上がると、ジャクヤがいった。
「また敵の気が変わった」
テルがいう。
「どういうことだ」
「ぼくたちのことがバレたんだろう。死体は4つしかない。逃走中の候補生があと3名はいる。簡単な引き算だ」
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