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「どうする、タツオ」
自分の決断に3名の命がかかっていた。残り時間は80分。戦闘中は頻繁(ひんぱん)に状況が変わり、そのたびに新たな決断を下さなければならない。タツオは迷いを見せずにいった。
「やつらはローラー作戦で、ネズミ一匹見逃さない索敵をおこなうだろう」
テルが周囲を警戒しながらいう。
「どんなふうにくると思う?」
タツオは顔をあげて、広大な演習場を眺めた。確かに空気が変わっているようだ。ジャクヤにきいた。
「なにか感じるか」
「そうだな、この演習場の両端で荒ぶる気がふくれあがってる。狩りをする獣の気だ」
「そうか、さっき制圧した拠点と敵陣の両方から一列にローラーをかけて挟み撃ちを狙ってるんだな。ぼくたちを罠にかかった獲物だと思ってる」
テルが自動小銃をもちあげていう。
「そいつをやられたら、30分とはもたないぞ」
タツオはうなずくしかなかった。
「そうだね。なんとか敵のローラーの向こう側に逃げないと」
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