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衣装から私服に着替え終っていたが、
忙しそうに動き回る秋吉とは対照的に鏡の前の椅子にぼーっと座って右手親指の爪を噛んでいる。
Gパンに杢グレーのパーカーの羽織り、
ジッパーを途中まで下げパーカーを被っていた。
「陸斗!」
「あっ、
ごめん……」
陸斗は指を口元から外した。
二人はテレビ局の楽屋に居た。
売り出し中の陸斗はバラエティーにドラマに奮闘していた。
過密スケジュールだったが、
まだまだ若手の陸斗が撮影に遅れて先輩方を待たせるわけにはいかない。
秋吉は溜息をついた。
「そこでプロデューサーの武内さん見かけたから、
挨拶してくる。
済ませたらすぐに行くよ」
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