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ふと思うことがある。 携帯小説の主人公は、携帯小説の存在を知りすぎていると。 神様転生とか、チート乙とか、そういうの多すぎて逆にテンプレ乙ってのがある。 だがしかし、主人公の物語を新しく立ちあげるには、転生ものの小説はいささか導入に使われやすい。 ファンタジーを欲している人に、日本は、現代は似合わない。故に、SFに飛んでいったり、ホラー系にぶっ飛んで死んでいったりするわけだ。 日常系は可愛い女の子出しときゃいい感。そんでもってハーレムでしょ?くそだよくそ。塗りつぶすぞ。 「・・・あー、フィクションごときに癇癪起こしてないで、現実見ようぜ青少年」 「・・・真っ白な部屋の異物みたいなコスプレお兄さんが目の前に現れたら現実逃避しない?尻尾動いてるし造りものじゃなさそうな角生えてるし」 うねうね、と触手のような気持ち悪さで爬虫類を思わせるような黒っぽい尻尾が動いている。 「そういうものか?よくわからないが、俺も仕事だしここは真面目に行かせてもらうぞ」 ごほん、と態とらしく---というか普通の咳払いだ---仕切り直すと、いつものあれが待っていた。 よってカットだ。もう鬱陶しいでしょ主人公の死に際だとか神様転生プレゼントの説明とか。 「君はどんな才能が欲しい?」 「・・・その手にある3枚のカードはなんだよ」 恩恵とかいてなんとかと読む、みたいなラノベ世界は嫌だぞ。 「友神がくれたやつだぜ。能力名が書いてある」 「選択肢それしかねーのかよ!もうちょっと融通効かせてよ神様」 位の低い神では与えられる種類に差があるらしく、当然全知全能は反逆の可能性があるのでなし、と。 「こればっかりは力が足りないけど、代わりに君の要求がこれらとマッチした場合、幾らか才能の上限が上がるから、それで満足してくれ」 なるほど。 時間停止系とかなら文字通りTUEEE出来るけど、ある一定以上の実力者には効かないのがラノベや携帯小説の常識だ。 故に選択の余地はない。 未来視は厄介ごとに出会いやすい。あと主人公とは完全に敵役になる。仲間になっても弱体化食らうので無しだろう。 創造。全知全能とあまり変わらないのでナシ。 「矛盾してるなぁ」 結構必死になっている俺に、黒い尻尾の神はくつくつとわらうのだった。
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