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ふと隣のものが目を覚ました
ー おはよう
声をかけてみた
目をこすり見上げた隣のものは目を見開き
わぁっと声を上げた
自分にではなく『青』に驚いたようだ
『きれぇ』
ふと次に出た言葉は感嘆の声だった
数秒見惚れていた隣のものは ハッとしたようにこちらを見た
『ごめん 声をかけてもらったのに 思わず コレに驚いてしまった』
指を指した先にはやはり『青』を示した
ー 驚くのも無理はない こんなにも綺麗なのだから
そう答えると ふわりと隣のものが笑った
『キミはだあれ?』
隣のものは自分を見る
ーさぁ、よくわからない キミよりも数分前に目を覚ましたものかな?
そう答えた
さしずめ 自分も自分が誰なのかは分かっていない
けれど数分間の間に見た光景から予想するに
ー 分かっている事は少しある、仲間の様な…兄弟というものかもね、キミとは
『兄弟?』
疑問の声が上がった
そう自分達は兄弟だ
ー 今ココにいる 自分達は 皆一様に同じ見目で 同じ行動をしている
うーんとうなりを上げ考え込む隣のものは 顔あげると
『じゃぁキミは兄さんだね』
そう自分を指して言うのだった
ー そうだね弟くん
ちょぴりくすぐったい気持ちになった
数日
同じ毎日の繰り返しが過ぎた時だった
その日は弟と『青』の話で盛り上がっていた。
やはり弟も自分と同様の夢を見たらしい
今日も見上げた『青』
いつも
とても綺麗だった
いや
いつもの綺麗とは
違ったいたかもしれない
少し体が鈍い
視界も霞んで見えたように思う
そして間もなくしてそれはきた
ピタリ
意識がスッーと下方に引いていく
グワンとまどろみが流れる様にやってきた
瞼に重みを感じ
思考もぼんやりとする
その一瞬暖かな風が吹いた
体が浮遊する感覚をかすかに感じる
『あっ!』弟の驚いた声が聞こえたようにおもう
最後の力を振り絞って瞼を開けると
あの『あお』が霞んで見えた
そして『ももいろ』の群集がみえた
次に『ちゃいろ』
ももいろからズシッシリした太い1本の線である
最後は『くろ』だった
そのまま
ひらり
ひらり
落ちていく気持ちのよさに
瞼が落ちます
眠りに落ちます
黒に沈みます
今日の『あお』を刻んで
目覚めの『青』に想いをはせて
ーまたね兄弟
またね『あおぞら』
それは
青空に魅せられた
桜の記憶
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